物語と作文


「さあ、これから作文を書いてください」、「夏休み中に読んだ本の感想文を書いてください。」といわれたとたん、ピタリと手の動きが止まってしまう子がたくさん見受けられます。
頭を抱える子、消しゴムをいじりだす子、詰まらなさそうに真っ白な原稿用紙を眺めている子…。お母様にも覚えが無いでしょうか?「何か書きなさい」と言われたときのあのイヤーな気持ちを…。
そうした子供たちは「書く」と言う行為を何か特別なものに感じているのです。まずは子供たちが持つ「書くこと」に対する抵抗感を取り除いてあげることが大切。
「表現」「技術」なんてものは後からいくらでもついてくる!くらいの気持で最初のうちはどんどん書かせてあげることが重要です。チラシの裏でも古いノートでもかまいません。
その際、子供たちが喜ぶのは何かルールや制限を設けてあげることです。「書けない」という子は、「書く」という行為が孕んでいるとてもつもない可能性の前に怯えている場合がほとんどですから、その可能性をルールによって狭めてあげればよいのです。
例えば女の子を必ず主人公にしなければならないとか、親切なおじいさんを必ず登場させなければならないとか、ことわざや格言を最低三つ入れなさいとか、さまざまな制約を設けると、面白いことに、まるでその制約に抗らうかのように子供たちの発送はどこまでも広がっていきます。
最近は「先生、今日は作文書かないの?」とせがまれることもしばしばです。以前はあんなに作文を書くのを嫌がっていたのに…。
作家のヘンリーミラーは「今、君は何か思っている。その思いついたところから書き出すとよい」といったそうです。
子供たちの素晴らしいところは、それを意図せずに実行できるところだと思います。
次の物語は小学校三年生の女の子が書いた物語です。書く前に、
- 必ず女の子を主人公にする事
- 以下の慣用句を必ず使うこと
- 肩を持つ
- 途方にくれる
- 耳にたこができる
- あわを食う
- へそで茶をわかす
という二つのルールを設けました。
慣用句に関しては、どれも九歳の女の子が二津上で使うには難しい言葉ばかりです。難しい設定でしたが、この子は素晴らしい物語を書いてくれました。
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